成人の方のアトピー性皮膚炎のリバウンドの場合、家族の理解と協力が肝要です。しかし、それぞれのご家族によってその理解と協力がの程度に差が見られます。ご夫婦のどちらかがリバウンドで辛い時、やはりパートナーの援助の力は絶大です。実例をご紹介致します。
 
 実例1.ステロイドを30年以上塗布し、改善しないのでプロトピックも5年間併用塗布して、それでも改善しなかったので、自分でそれらを中止してリバウンドを発症した成人女性が、近畿地方の他府県から受診されました。全身じくじくで浸出液が多く、顔面や手足も腫れあがり、今まではめていた指輪も指が腫れてはめれない状態でした。

じくじくの状態からMRSA(抗生物質耐性の黄色ブドウ球菌)の感染症と思い、すぐに治療をして同時に検査をしましたが、やはりMRSAが検出されました。MRSAに効果のある抗生剤でその状態は改善しましたが、その後に全身型の単純ヘルペス感染症(カポジ水痘様発疹症)を発症し、それも抗ウイルス剤で改善しました。

痒みも強く、不眠もあり、睡眠薬も加えた内服、外用で治療して、リバウンドは約4ヵ月で改善しましたが、その後も痒みは強く、傷が絶えない状態でした。抗アレルギー薬、抗ヒスタミン剤等の内服を色々組み合わせましたが、十分に改善しません。初診から1年しても、まだ痒みも強く、傷も多くありました。

その女性はいつもお一人で受診しましたが、スキンケア―も全身なので時間もかかります。初診から1年2ヵ月目の時、私が「ご主人はスキンケア―を手伝ってくれますか?」と尋ねました。その女性は家族の話は今まで一切しなかったので、私も今までそういう話はしませんでした。すると「主人は、『掻いているから治らない。掻いてはダメだ。』というだけで、何も手伝ってくれません。」との答えでした。これはご夫婦のチームワークが不十分と思い、一度ご主人と共に受診してもらうよう頼みました。ちなみにご主人はアトピー性皮膚炎はありません。

アトピー性皮膚炎の方々は強い痒みで、掻きたくはなくても掻いているのが実情です。ですので、「掻いてはいけない」「掻いてはダメだ」と言うのは、かえって患者さんにストレスを与えるので禁句です。私は、リント布(というソフトな布)でカバーした上からなら掻いてもかまいません、というようにアドバイスしてストレスを緩和しています。

その女性は、ご主人がスキンケア―を手伝ってくれないばかりか、「掻いてはダメだ」と言われて、更にストレスが強まり、痒みも増強し、不安も出てきて、改善が遅れていました。そこでご主人に来てもらい、上記の事を説明し「掻いてはダメだ」と言わないようにお願いすると共に、スキンケア―を手伝ってもらうように頼みました。

ご主人はそれらを理解してくれ、それからは時々は一緒に受診するようになりました。すると急速に改善が見られ、痒みもあるが以前ほど強くはなく、傷も著明に減少しました。初診から2年後には、軽度のアトピー性皮膚炎があるのみとなり、2年半後には完治しました。最初はご夫婦のチームワークが悪く、悪化状態が長引いていましたが、その後チームワークを確立して、愛情で完治した例です。私はもっと早くご夫婦のことをきけばよかったと反省して、現在は改善状態が悪い時は、さしつかえのない程度に、ご家族のご協力体制を尋ねるようにしています。

 実例2.ステロイドを30年以上塗布し、改善しないのでプロトピックも10年間併用塗布して、それでも効果がないので、自分でそれらを中止して、リバウンドを起こした成人男性が、奥様と共に近畿地方の他府県から受診されました。全身じくじくで浸出液も多く、顔面や手足も腫れあがり、この方もMRSAと思い、その治療をしながら検査をするとMRSAが検出されました。またこの方もその後カポジ水痘様発疹症を発症されました。しかし、それも抗ウイルス薬で改善しました。

この方は毎回奥様と共に受診されました。尚、奥様はアトピー性皮膚炎はありません。そしてご夫婦で、リバウンドの説明をよく聞いて理解し、いつも一生懸命質問をして帰られました。もちろんスキンケア―も奥様がサポートしていました。痒みも強く、不眠も最初はありましたが、奥様の励ましもあり、不安は強くはありませんでした。

更にこの方はリント布カバーを色々工夫して、掻いても傷ができないようにしていました。ある時は、足のリント布を上からとめるのにストッキングをはいてきて(奥様のアイデアというとでした)、うまくカバーしていました。そして、痒みも不眠も速やかに改善しました。

ご夫婦のチームワークは抜群でした。ご夫婦で協力するのが楽しいようで、改善につれ外来でもよくお二人が微笑むのが印象的でした。そうするとこの方は約2ヵ月後にはリバウドが改善し、半年後にはアトピー性皮膚炎も著明に改善し、何と9ヵ月後には治癒しました。そこで投薬を中止しました。その後1年後に再診されましたが、その時は診察のみと言う感じで、投薬も不要で完治していました。それ以後再発もなく、現在は受診しておりません。ご夫婦のチームワークが最初からよく、そのため改善、治癒が非常に早かった、嬉しい例です。

このように、ご家族のチームワークは非常に大切です。パートナーがいる場合はパートナーとの協力で頑張って下さい。またお子様がアトピー性皮膚炎の場合は、お母様がケアーをする中心になりますが、一人ではかなり大変ですし、ストレスもかかります。是非、お父様もご協力されて、チームワークでアトピー性皮膚炎を克服してください。







 

 アトピー性皮膚炎の治療には、チームワークが必須です。患者ー医師との相互の信頼と協力のチームワークはもちろんですが、家族のチームワークも大切です。しかし、意外と家族のチームワークが完備していない方々が多く見られます。理由は、ステロイドに対するマスコミやインターネットの情報が多すぎて、間違った知識で混乱し、家族間の意見が一致しないからです。

 実例:アトピー性皮膚炎の乳児を連れた両親が、中国地方の他府県から受診されました。既にステロイドを数ヵ月塗布していて改善せず、両親は自己判断で中止して、リバウンドを起こしていました。この場合、両親はステロイドフリーの治療を強く希望され、両親のチームワークは良かったのですが、父型の祖父母(つまり母親にとっては舅と姑)が、ステロイドの害を理解していませんでした。

この乳児は、かなり強いステロイドを全身に塗布されていて、その為に強いリバウンドがおこり、悪化状態が長引いていました。それを両親は理解して私の治療を継続してくれていましたが、ある時、祖父母が一緒に来院し、「この悪化状態を早く改善したいので、ステロイドを使って欲しい」と、強引に要求しました。

私はステロイドの副作用やリバウンドの説明を詳細にしましたが、祖父母は聞く耳を持ってくれません。あげくの果てに外来で、祖父母が両親と口論を始めるありさまでした。後で両親に聞くと、家でもいつも口論が絶えないということでした。

しかし、アトピー性皮膚炎は精神的ストレスや不安でも悪化しますので、家族が言い争うのは、この乳児には非常に悪影響を及ぼしていました。要するに、両親と祖父母が口論する度に、アトピー性皮膚炎は悪化していたのです。そういうことも説明しましたが、祖父母は理解してくれませんでした。しかもその後、祖父母はなんと強引に地元の病院に乳児を入院させて、またステロイド治療を受けさせてしまいました。

入院中は少し改善しましたが(しかし軽度程度です)、退院してステロイドをやめると、また強いリバウンドを起こしました。その状態で私の所を受診されました。そこでリバウンドの説明を再度詳細にすると、乳児の悪化の状態とその原因(ステロイドを塗布してその後中止した事)も認識されてようやく祖父母もステロイドの害を理解してくれるようになり、その後は両親との口論も無くなりました。

結局1年半かかりましたが、その乳児はその後治癒して、現在は再発も無く、完治しています。このように、家族全員がステロイドの弊害を理解して、同じ方向を目指して一致団結する、いわばチーム医療が、アトピー性皮膚炎の治癒には必須です。

両親はお子さんの治療に加えて、祖父母との対立もあり、大変な状況であったと思います。特に母親は、舅と姑が相手ですので、辛い日々の連続だった思います。しかし、父親の愛情で母親をサポートし、それらを克服し最後は完治した例です。


 
 

 最近、嬉しい話が続きました。それぞれ今までなかなか改善しなかったアトピー性皮膚炎の方々が、当科にて完治されたのです。その喜びの声をお伝えします。
 

 実例1.九州地方からの小児の方ですが、ステロイド塗布、プロトピック塗布をして全く改善せず、その後それらを中止してリバウンドを発症して、そのまま地元での治療でよくならず、はるばる当科を受診されました。

地元では重症のアトピー性皮膚炎という診断でしたが、診察するとアトピー性皮膚炎に全身のとびひ状態(黄色ブドウ球菌と溶連菌という2種類の細菌の重複感染でした)と、カポジ水痘様発疹(単純ヘルぺスの全身感染症)を合併していました。つまり、細菌と単純ヘルペスの感染症の診断が抜けていて、その治療もされていなかったのです。

皮膚は傷がいっぱいで、痒みと痛みで夜間も不眠でした。そこで、これらに対する内服薬(抗生物質と抗ウイルス剤)を処方し、アトピー性皮膚炎には、抗アレルギー薬+かゆみ止めの内服、更にスキンケア―(イソジン消毒液+抗菌剤)をして、リント布(柔らかい皮膚を保護する布)でカバーしてもらいました。そうすると、1ヵ月後の次回受診時には著明に改善していました。

以後は月に一度受診していましたが、次第に傷も無くなり痒みも痛みも減少し、みるみるうちに改善していきました。そして内服薬も初診から4ヵ月後には減量でき、その2ヵ月後(つまり初診から6ヵ月後には)、皮膚は赤みもなくなり、痒みも無く、治癒となりました。

「これで終了です。お疲れ様でした。」と診察室で、そのお子さんとお母さんに声をかけると、お母さんは満面の笑みで、「ありがとうございました。」と喜ばれました。診察室を出て行き、診療後の手続きを受付でしている時、お母さんの「今日で治療は終わりです。お世話になりました。」と、嬉しそうな声が聞こえてきました。

診療が終わって休み時間に、受付のスタッフの方が、「先生、ありがとうございました。先ほどのお母さん、本当に喜んでいました。私もうるうるしました。」と、言ってきました。それを聞いて私もそのスタッフの方に非常に感謝しました。アトピー性皮膚炎は、患者さんの苦しみを共感することが大切で、それが信頼関係を強めます。そのスタッフの方は、前述の親子の苦しみを十分共感していて、だから治癒した時にその喜びもまた共感できたのでしょう。それで自然と感謝の言葉が出たのだと思います。

 

でも、一般的にここまでスタッフの方が患者さんの気持ちを共感できる医療施設は殆どありません。とりわけ大きな病院では、受付での対応も色々な科の患者さんが多く、個別の患者さんを覚えているのも難しい状態です。この点、規模の小さい当クリニックでは、スタッフの方々がいわば手作りの温かい医療をしています。今回もそのスタッフの方の思いやりのある人柄がこのような共感を生み出せたと思われます。

また、同様な共感は別のスタッフの方々も以前私に言ってきて、(私は良いスタッフの方々と共に診療ができている)と思って、あらためてスタッフの方々に感謝しました。医療行為は、医師と患者さんだけではなく、受付のスタッフの方々と診察の介助のスタッフの方々も含めてのチーム医療です。その意味で現在のクリニックは、私が今まで勤務してきた医療施設の中で、アトピー性皮膚炎の治療にはベストなスタッフの方々に恵まれています。


 実例2.近畿地方の他府県からの成人の方ですが、この方は、ある大学に勤務している私が敬愛するK先生からの紹介で私を受診されました。色々なステロイドを数年間塗布しても改善せず、初診時は両腕と両足に傷が多く、びらんもあり、じくじくの浸出液も多く、黄色ブドウ球菌によるとびひ状態でした。夜間の痒みも強く、不眠もありました。

とびひ状態には抗生剤内服で対処し、抗アレルギー薬+かゆみ止めの内服、スキンケア―(イソジン消毒液+抗菌剤+かゆみ止め)とリント布カバーで対処しました。ステロイドを中止するとリバウンドで両足が腫れ、それには利尿剤の内服で対処しました。その方はリバウンドの理解も良く、治療ですみやかに改善していきました。

リバウンドによる足の腫れも、約1ヵ月で改善し利尿剤も不要になり、その後も順調に改善しました。初診から3ヵ月後に受診された時は、手はほぼ治癒、足に傷が残る程度でした。夜間のかゆみも不眠も改善していました。その後、受診されずどうされたかと思っていましたが、たまたま
K先生と連絡をとる機会があり、その時K先生がその方はいまどうされているかお尋ねになりました。

思いやりの深い
K先生は、その方が悪化して受診中止を心配しておられたのです。そこでカルテを見ると、その時以後受診していないので、K先生に、「最近は受診されていません。最後の受診の時はかなり改善していたので、もしかしたら最近好調で受診しないかもしれません。または悪化して困っている可能性もあります。」と、メールを送りました。

K先生は早速その方にメールを送りましたが、その方からのメールをもらって、「嬉しいお知らせ」という件名で、大変喜んで私にその方のメールをコピーして送ってくれました。その方の了承を得て以下にご紹介致します。

「その後なのですが、飲み薬なんて全く必要のないほど普通の肌になりまして(生理前にやや荒れるくらいで)、食事もしっかりとれるようになり、体重も十分もどりました。死にそうだよと周りに言われていた日から、ここまで回復出来るとは、本当に信じがたいです。

先生が『ステロイドを使わなくても治るから大丈夫』という内容を、ぶれずにはっきり仰ってくださったお陰です。患者としては、治りそうになくても『絶対治る』とお医者様に言って頂けないと、何を芯に病気と向き合えばいいのか、すがるものがなくただ耐える日々が待つばかりとなってしまいます。

そんな中実績を重ねた先生の言葉で、もう無理だと思いながらも頑張ることが出来ました。
K先生にこの方を紹介いただけて、感謝しきれないくらいです。本当にありがとうございます。木俣先生にもお伝えしたいと思いながら、患者でいっぱいの待合室を見ると、元気な人間が時間を割いていただくわけにはいかないなと、お伝え出来ずにいました。通院はないものの、実は私もひっそりとブログ更新を心待ちにしている一人です。」

このお二人の話は本当に短期間に重症なアトピー性皮膚炎が治癒して、喜びを手にされた嬉しい実例です。




 


 


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