上記、8月17日の講演会のお知らせです。皆様、お気軽にご参加下さい。
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 もう十数年前ですが、私はアトピー性皮膚炎に脂肪肝の合併が成人のみならず、小児にも、そして乳児にも多いことに気がつき愕然としました。

しかもそういう方たちは肥満がなくても脂肪肝は検出されました。内臓脂肪と体脂肪は必ずしも相関しないので、今考えれば当然でしたが、当時はスリムな方にも脂肪肝を見つける事も多く、驚きの日々でした。
脂肪肝は血液検査ではわからず超音波検査が必要になります。当時、私が勤務していた病院では検査科とのコラボが良く、検査科で気軽に超音波検査をしてくれましたので、スムーズに検査ができ、多くのアトピー性皮膚炎の方々の脂肪肝を発見しました。

逆に言うと、他のあまたの病院では、超音波検査が簡単にできるように、もっと医師と検査科のコラボを良くするべきです。私もその病院以外では、超音波検査は予約制とか、施行する医師または検査科の人の都合とかで、検査が制限され、以後はできなくなりましたのが残念です。しかし、その病院のおかげで貴重な情報を収集し、2001年から数年かけて、海外の医学雑誌にアトピー性皮膚炎と脂肪肝の論文を数編発表しました。アトピー性皮膚炎の患者さんで脂肪肝が高率に合併すると言うのは、世界で初めての報告でした。

当時は(残念ながら今もですが)、誰もアトピー性皮膚炎と脂肪肝の関連に気がつかず、私は一種の危機感をもっていましたので、普段はマスコミ嫌いの私も、脂肪肝に関しては積極的にマスコミに情報を提供しました。日本医事新報という医師向けの雑誌に寄稿したり、毎日新聞の取材も受けました。
でも、脂肪肝は痛みもなく、血液検査でも異常がでないこともありますので、その意義をわかっている方が少なく、全く反響がなく、大いに失望しました。現在ならメタボという言葉があり、これはメタボ=内臓脂肪症候群ですので、内臓である肝臓に脂肪が蓄積されれば、脂肪肝=メタボとわかるのですが、当時は脂肪肝に興味があるのは、内科の肝臓専門家くらいでした。

しかし、私はアトピー性皮膚炎の成人の方で約50%、小児でも約30%の割合で脂肪肝を合併するというデーターに、(これは大変な時代がくる)、という今のメタボ時代を予見し非常に心配していました。ですので、講演では脂肪肝のリスクを訴え、外来診療では脂肪分の摂取を減らす食生活を提言してきました。でもやはりメタボ時代になり残念です。せめてこのブログを読む方々は、脂肪肝の予防、改善を心がけてください。

 尚、脂肪肝は軽症なら無症状ですが、進行すると脂肪性肝炎、そして肝硬変、更に肝癌へと移行する場合もあります。更に、アレルギー反応を増強しますので、アレルギー疾患の悪化因子ですので、脂肪肝のあるアトピー性皮膚炎の方は改善が遅いのです。しかし、脂肪肝を食生活等で改善させるとアトピー性皮膚炎も改善し、両者に相関関係があるのがわかります。食生活では過剰な脂肪分の摂取を制限することです。

その為には和食がベターです。実はパンも同じカロリーのごはんに比べれば何と20倍もの脂質が入っています。ですので、朝食はごはん、味噌汁、納豆がよく、昼食は外食なら和食の定食、昼食はお弁当ならごはん、煮魚か焼き魚、野菜(食物繊維も摂取できます)、そして夕食はごはん、色々なやさいたっぷりのおかず、大豆主体のタンパク質(豆腐とか)、そして脂肪分を減らした肉、あるいは魚がいいのです。

 しかし、どうしてアトピー性皮膚炎で脂肪肝の合併が多いかは、私にもずっと謎でした。しかし2012年には東北大学の研究者の方が、アトピー性皮膚炎を起こすマウスでは、脂肪肝になることを英文医学雑誌に発表してくれ、私の10年以上の疑問に答えてくれました。簡単に言うと、アトピー性皮膚炎では肝臓での脂肪の分解が悪く、脂肪肝になりやすいのです。この論文を読んで私は感激しました。やはり勉強はするものですね。次回は具体的な脂肪肝の例を紹介します。
 

 

 アトピー性皮膚炎にステロイドフリーの治療を行っている医師は少ないので、他府県からも受診される方も多いのが現状です。しかし、遠方という距離のハンデを前向きにとらえて、明るく受診される方は改善・治癒が早いのも事実です。ある方々は、東海地方から車で3時間の通院をされて月に1回二人のお子さん達を乗せて家族全員で受診していました。

片道3時間ですので、午前中に受診してその後食事等をすると帰宅するのは午後遅く、殆ど1日費やされます。ある時、私が「3時間の通院は大変でしょう。お疲れ様です」と言うと、いつも運転されるお父さんが、「子供達がピクニック気分でドライブを楽しんでいますので、大丈夫です」と答えられ、(偉いなあ)、と思いました。
事実、受診されるお子さん達は、いつも楽しそうで、ご両親も笑顔を絶やさず来てくれていました。もちろん、初診からしばらくは、まだまだ症状もひどく、夜間の痒みも強いので、お子さん達の不眠に合わせて、ご両親も不眠でしたが、それでも前向きに受診しているうちに、改善して夜間も安眠ができるようになり、次第に家族に笑顔の輪が広がったそうです。

結局、1年くらいの通院でお二人とも治癒し、その後再発も無く完治となりました。受診をピクニックとして捉えてポジテイブに行動したそのご家族の名言です。

 別の方は成人で関東地方から新幹線通院をされていましたが、最初は家族全員が改善すると言う希望が持てなく、暗い雰囲気でした。地元でも色々な病院や開業医へも行きましたが、どこもステロイド塗布の治療で改善せず、はるばると新幹線で大阪まで受診されました。
最初は不安と緊張で感情の起伏も激しかったのですが、私(の治療)との信頼感が次第に強まり、感情的にも安定され、それにつれて症状も改善しました。そうなると好循環で、受診の度に笑顔が見られるようになり、つきそいのご家族も笑顔に満ちるようになりました。かなり改善したある日、もちろん新幹線で受診されましたが、「今日は薬はまだありますので要りません。先生が薬です。」と言って私と10分くらい話して、喜んで帰られました。

普通受診するのは、薬をもらうか、検査をするか、またはアドバイスをもらうか、です。この方の場合は、既にアドバイスも不要なくらい改善していて、私と話すだけの為に新幹線受診されたのでした。私と話して薬になるなら、いくらでもお話します。いまでもはっきり覚えている名言です。この方は1年半くらい通院して、その後治癒し、数年後の今でも再発なく完治しています。
 このように、アトピーの患者さんからの言葉は総合的治療の改善の的を得ています。私も大いに参考にさせて頂いています。ありがたいことです。そのような名言を教えてくれた方々に感謝致します。心が明るくなる色々な名言を胸に秘め、よりよい治療を目指して精進する日々です。
 
 

前回は研究の恩師について述べましたが、今回は臨床の恩師について書きます。現在の臨床医としての私があるのはこの恩師のおかげです。私は京大を卒業すると小児科の医局に入局しました。

医学部学生は6年生の時には専門を選んで、外部の病院に研修に行きますが、後で専門を代わる方も時々います。そういう方々が、最初に学んだ専門の知識を生かして、その新しい専門分野で活躍できることも多く、そういう転換は前進と思います。私も今は小児科からアレルギー科へと変わりましたが、小児科の知識と経験は今の診療に役立っております。

 さて、卒業すると京大病院で簡単な研修を受けて、京大病院へ残るか、外部の病院に赴任するかです。これは今でも経緯が不明ですが、何故か外部の病院への赴任組に選ばれました。
そのメンバーで話し合ってそれぞれ希望の病院を決めました。私は正直どこの病院でもよく、同僚に譲って最後に残った福井県立病院になりました。その病院には全く知人もおらず、福井という土地も知らず、白紙の状態でのスタートでした。しかし、それが後で非常に幸運であったことがわかります。

さて赴任して、小児科に行くと、次々と入院のお子さん達が搬送されてきます。当時、県立病院小児科は、福井県で福井日赤小児科と双璧をなす規模とレベルの高さを持っていました。その分、非常に多忙でした。
一般小児科と併設して、未熟児センターがあり、それぞれ独立して入院を受持ちます。両方とも多忙だと、病院に閉じこもりきりで、食事も無しで仕事をすることになります。一般小児科と未熟児センターを束ねる小児科部長が南場一郎先生でした。

南場先生は、今私が小児科医として経験を積んだ現時点でも、私が出会った小児科医の中ではNo.1の優秀な小児科医と断定できます。小児科医にとって、診断の正確さ、決断の素早さ、処置の巧みさ、そして小児の疾患に対する広い知識にあふれていました。
 当時の福井県立病院小児科は、まだ福井医大もないころで、一次救急、二次救急、更に三次救急までしていました。ですので、重症な患者さんも多く入院し、それらをまだ未熟な私達の任せながらも、バックアップしてくれました。
私は白紙の状態で、学生時代の不勉強を反省して、よく勉強しながら働きました。
いわば、運動部の合宿みたいな感じです。いつも遅くまで病院にいて、しばしば病院にそのまま泊まり(この為、すぐ寝袋を買いました)、小児科漬けになり、どんどん知識と技術を習得しました。
外来もすぐ担当をまかされ、一人当直もやり、救急も対処し、入院患者さんももちろん一人で持ちます。この点が、大学病院の研修とは全然違い、診断が決まった疾患を指導医の元で治療するという大学病院では、こういうことはできません。

この点では、この病院では経験も多く積むことができ、勉強も思い切りできると言う点で、幸運でした。しかし、もちろん私の全ての診療のバックアップには南場先生がいてくれて、適切なアドバイスとサポートをいつでもくれました。救急で一人で対処していて、不明な事があると南場先生に電話すると夜間でもすぐ来てくれましたし、日常診療でも基本的には自主的に治療をまかせてくれましたが(その為、どんどん勉強ができて、小児科医として進歩できました)、訂正すべき点はきちんと注意してくれました。

人間的にも、慈愛に満ちていて、スタッフとのコミュニケーションも良く、患者さんからの信頼も抜群でした。つまり診療を通じて、小児科医というのは、こういうものであるというお手本を見せてくれたのでした。私は一般小児科を学ぶと、専門も学ぼうとアレルギー外来を担当しました。南場先生はその後、ご開業されいまでも開業医として、優秀な腕を振るっております。


 

 


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